今日の日記

2004年1月5日
母方の親族との新年会のため 母の実家に宿泊した

 
帰り際

笑って お礼を言う私のコートをぐいっと引っ張り

低い背を伸ばして 私の耳に口を寄せて 小声で


「お母さんを助けてあげてね。あんた女の子なんだからね」

 
そう言う祖母ちゃんのその声は 震えていました

白い新品のコートを掴んだその手も 震えていました

頭に被っていた手ぬぐいで涙を拭っていました

 
私は動揺して 植木の枝を踏みつけて折ってしまいました


 
祖母ちゃんが 泣いておりました

私はその小さな手をぎゅっと握りました


小さくて冷たくてしわくちゃの手を 祖母ちゃんの手を握りました

なのに

祖母ちゃんの握り返す力のほうが強くって

私の方が祖母ちゃんに手を握られている気がしました


祖母ちゃんの目は真っ赤

小さな背で小さな手で小さな声で

涙を流していました

 
 
祖母ちゃんの言葉が耳の奥で反芻を繰り返し

 
 
道の駅に寄ったときに

段差に気が付かなかった私は

ドリフターズ顔負けの見事なコケを披露しました

母は「ばっかねえ」と笑って呆れていました

膝が 痛かったです

手のひらも痛かった


 
でも もっと痛い場所がある気がしていました‥


 
普通の家ではないとは知っています

母親の負担も知っています

母が旧姓に戻ることになっても仕方がないと思う

そのとき私のすべきことも解かってる


 
祖母ちゃんの声が 母の姿に被る‥


 
何も無い家族など無い  だから不幸だとは思わない

かけがえのない私の家族だ

それ以上でもそれ以下でもないから

 
 
私にできることはして

祖母ちゃん

私はこの春から母ちゃんの近くにはいてあげられないと思うけど

でも祖母ちゃん

私は 自分にできる事はするから

祖母ちゃん その涙をきっと

無駄にはしないよう


 
もっともっと痛いところがあると思うけど

それも受け入れていくから祖母ちゃん

 
 
笑っていてよ

笑っていてよ

笑っていてね
 

ごめんね。

 

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